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大阪天保山にあるサントリーミュージアム天保山にダリ展を見に行ってきた。所望の展開としては、自分の持つ思考のキャパシティーを超える超現実主義に触れることで、新境地に達したいと願っていた。具体的には、コレ極マレリ的なシュールな絵を見た子供たちが、呆然とし、中には泣き出し、トラウマになる、いうなれば地獄の様相を呈したダリ展を期待していたのである。

しかし、現実のダリ展はどうだ。トリックアートが流行っているのかその影響でダブルイメージとか、小難しく原子力爆弾に大きな衝撃を受けて原子力と宗教の融合だの、カタストロフ理論に傾倒しただのと「生誕100年で新しいイメージを造りだしたいねん」みたいな力がチラリと見え隠れしてるようで、ちょっと期待はずれと言えばそうだった。

ダリとその作品の魅力は糞尿大好きスカトロ趣向者のちょっと危険な香りがする素っ頓狂な伊達男の生涯と「その発想はなかったわ」的冒険心に富んだ作品であって、インテリ気取りのおっさんではないと思う。全生涯にわたって手がけた仕事が並べられ、真のダリファンにはより一層ダリに対する理解を深められただろう。でも、味見程度に行った私にとってはお腹いっぱいの内容だった。残念ながら今回のダリ展は求めるダリ展ではなかったといえる。

かといってここでダリの話をやめるのはもったいないので続ける。ダリの作品はシュルレアリスムと言われるカテゴリーに分類される(晩年は古典主義に目覚め宗教チックな作品が多いがここではひとまずおいておこう)。シュルレアリスムとはフランス語で、和訳すると超現実主義といわれる。wikiによれば、

「ものすごく過剰なまでに現実」というような意味である。超現実とは現実(約束事などに捕らわれた日常世界)に隣接した世界、またはその中に内包された世界で、現実から離れてしまった世界ではなく、夜の夢や見慣れた都市風景、むき出しの物事などの中から不意に感じられる「強度の強い現実」「上位の現実」である。彼等シュルレアリストが、コラージュや自動筆記といった偶然性の強い手法で作る作品などは一見非現実的だが、彼らにとっては、主観や意識や理性が介在できない状態で偶然できたものや、そもそも意識の介在から解き放たれた夢の中からこそわれわれの普段気付かない現実、「超現実」が出現することを信じていた。

と何を言っているのさっぱりわからんが大雑把に説明すると無意識の領域を表現するといえばいいのだろう。もちろんこの手の芸術家にはフロイト大先生の影響があるのは言うまでもない。

そのシュルレアリストのなかでダリは、見るものに混乱を起こすような不条理な世界観を得意としていた。どこまでも続く空と荒涼とした大地に極端に足の長い像や馬、浮遊する大きな顔の穴の中から顔が出てくる顔など謎めいた妙奇天烈な動物が闊歩し、時計がとろけ曲がる。日常風景の単調な色彩のバックと不可解なパーツが全体に異様な緊張感を与え、不思議な世界を生み出す。

そんなダリ。実は日本の漫画にも大きな影響を与えているのは皆さんご存知だろうか? これは私見なのだが、気付いた限り二人いる。それも超大物で作品の中でもろにダリ作品の一部が登場する。それは『JOJO』の荒木 飛呂彦と『鋼の錬金術師』の荒川 弘である。荒木先生の作品ではウルトラジャンプ連載中の『STEEL BALL RUN』4巻(当時は週刊少年ジャンプ掲載)で登場する爆破テロリスト、オエコモバがもつスタンド能力の描写。オエコモバが「今すごく手に汗握っちゃったよなぁ~」といかにも意味深にしゃべり出す場面である。ジャイロが鉄球を持つ手に爆弾の起爆装置の時計が汗の影響でとろけて曲がっているのだ。これはまさしくダリの『曲がる時計』である。そして、『鋼の錬金術師』では「嫉妬」の名を持つ人造人間エンヴィーがグラトニーの体内で本来の姿にもどった時である。このときエンヴィーのエネルギーとなっているクセルクセス人の魂の描写が実はダリの作品と酷似している。どちらもこじつけがましいと思えるが、そんなアートな面から漫画を見るのもこれまた一興である。

しかし、荒木先生の作品にはアートな面からも見所がたくさんである。いつか機会があれば、長崎ハウステンボスに行って『無限性と不可能性のM.C.エッシャーとエニグマ』で記事を書いてみたい。

で、本題。ダリの作品は無意識を表現した不可解な超現実主義の象徴であるが、当店の在庫は本日「買い切り延べ勘」と謎めいた刻印がついた角川文庫が100冊が到着し、状況はさらにシュールな具合になっている。今回は当店の在庫に軍配を上げたい。

↓virtual Dali ダリの作品が見れます。さすがに生で見るほうがやっぱりいい。
http://www.virtualdali.com/

Surreal Art - Persephone - Wishbone Ash

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無題
やっぱりダリの絵って怖いですけど、魅力的ですね。
ダリ展ってそんなシュールな(?)絵なかったんですか・・・残念です;
あろえ | URL | 2007-05-06(Sun)22:55:42 | 編集
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