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行きの電車で『坂の上の雲』を読み終わり、帰りの電車で読むのもがなかったので、何か軽い読み物ないかなと、棚を見ていると、「短編集」という『1ポンドの悲しみ』が目にとまって、買ってみました。恋愛小説なんて読んだことあったかなと、考えてみみましたが、中島らもの『今夜すべてのバーで』と村上春樹作品系が近似値を示すぐらいで、こんなコテコテなのはあんまないです。
はじめの「ふたりの名前」は、2人の所有物をハッキリ分けるために全てのものに「A」と「T」を書き分けるカップルの話。この所有権をめぐって骨肉の争いの後に、ささやかな幸福がくるんだろうな、なんて思ってたら、軽やかにハッピーエンド。予想外。何とあっさりしているんだろうか。この季節に妙な心地いい空気を送り込んでくれました。
すんなり男と女の仲ができてしまうところには、彼女がいない私にとって「んなことねぇーだろ」みたいな、「バーカ、バーカ、現実は厳しいんだよ」という一種の負け犬的感情があったのですが、素直になれば結構簡単なのかもしれないという、淡い期待も沸いてきました。
あっさりしてていいです。猛烈に恋がしたくなるというような物語はありませんでしたが、既に花の20代を終えようとしている、終わった女性の主人公が多くて、がんばってんだなーと思いながら、同じ日本の夜空の下でカップルが幸せな時間を過ごしていると思うと、ひねくれた私でも不思議と、何だかちょっと幸せな気持ちになれた、恋愛小説でした。
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